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 手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   
カテゴリー「作品:【千文字の饗宴】紅」の記事一覧

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『化鳥水』

[解題]
別ブログ掲載の【即興詩篇】からの転用である。鳥という存在が昔から好きだった。理由を探るつもりは毛頭ないが、いつからか畏敬と憧憬入り混じる幻想の存在として位置付けてきているのかもしれない。「はいたか夢路」しかり、「鳥たちのいる風景」しかり、本作しかり。
もっとも本作は「化鳥」と「化粧水」を合わせた洒落のタイトルが先にあり、内容は後天的なものだ。生と死を両性具有的に持ちうる存在、そこに胎児の(あるいはそれ未満の)娘をあてがう。
かつて「子宮の記憶」という短篇を思案したことがあったが、それは遠くない未来に生まれてくる赤ん坊が不可視の青年の姿をとり、茶の間に座り込んで母となる女の生活を眺めるという話だった。本作はそのヴァリエーションである。



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『皿の花嫁』

[解題]
タイトルからして『血の花嫁』の姉妹作(とでも言いたいところだが似たタイトルにしたのは気まぐれ以外の何でもない)。
ただし背景にある猟奇殺人興味は共通している。『血の花嫁』では作者のなかに眠るイメージを基盤としているが、こちらではもっとインプットに委ねている。詳細を語るのはやめよう。巷では毎日毎日さまざまなニュースが流れている。目の前を横切ったまま虚無に消えるはずだったその断片を、惜しげもなく摘みとっただけの話である。
肉付けとして、皿からの連想にちなむ『番長皿屋敷』と藤子・F・不二雄「ミノタウロスの皿」を引いている。遊び心だ。登場する女優にモデルはいないが、ヴィジョンは皆川博子「使者」の稚拙なパロディである。





『ダリオスカトロロの城』

[解題]
『女の園』の解題でも記したとおり、その分野におけるカテゴリーのなかでもひときわ異彩を放つスカトロを代表する一篇。
ネーミングにダリオ・アルジェントの名前を幻視してしまう御仁は忘れてしまってほしいし、またもう一方『カリオストロの城』を幻視してしまう御仁には見なかったことにしてもらいたい。
そんなことはどうでもよいと言い、本作を過激なフェティシズムによる純愛物語と読んでくれる人のためにだけ、本作は存在するのである。





『都市計画アンダーグラウンド』

[解題]
悪癖は、複雑な設定を希釈することも濃縮することもせずにそのまま投入することと、多少の齟齬を構成によって有耶無耶にしてしまうことである。都市と人体の関わりはこれからの創作においても重要な命題の一部となってくるだろう。その叩き台としてなら活用できそうだ。
あるいはコールタールのなかの虹、宇宙のなかの電飾、闇のなかの綺羅、混沌のなかの星……手前ミソながら楡井ズムと名づけた創作論のメインストリームでもある、それら相反する美意識――いわば拙作における幻視の肝を再確認するための模範例であることは確かだ。





『波濤の娘』

[解題]
小説と並行して詩作にも興じることになったが、そこから派生した文学でもホラーとしてでもなく、拡大解釈してみたところの吉川楡井作品の集大成としてこれがある。それだけ力量をもって描いたし、思うところもあるのだが、今にして思えば随分とチープな作品だ。
タイトルはもちろん平沢進『白虎野の娘』を真似たものであり、流れる血液は無様にも楽曲とおなじ成分、おなじ濃度を目指そうとして誤って少し精液を混じらせてしまった具合だ。けれどそれはそれで可愛い娘になった気もする。





『生首流星群』

[解題]
俺のショートショート初体験は『トワイライトゾーン』でもなく星新一でもなく、えんどコイチ『END ZONE』だ。『アウターゾーン』や『笑ゥせぇるすまん』などいくらでも先行作品はあるはずなのに、『ついでにとんちんかん』からの流れで読んだのが出逢いだったというのは今思えば情けなくもある。それだけこの世界と無縁な幼少時代を送ってきたのです……。
1000文字のなかでも『END ZONE』のエピソードを踏襲したのは他に『代わりに、小鳩を』『君が猫ろぶ前に』あたりか。もちろん『END ZONE』自体どこからか持ってきたネタのリサイクルなので孫パクにあたる。
本作は直接的な踏襲にはあたらないが、終末世界に好みでない相手と残されるというネタを持ちだしている。本作ではそれを受容したのちに『爛夜花』を彷彿とさせる世紀末ヴィジョンでもって、なし崩しに俺流のファンタスマゴリアに化けさせてみた。とはいえ言葉足らずは否めない。





『脳髄妖』

[解題]
複雑化に対する認識を改めなければならないと思う。本作を見るとそれが特に感じられる。作者なりの言い訳も決して負け惜しみではないのだが、にしても混沌ばかりでは喉が渇くというものだ。
そうでなくても1000文字を超えているわけだから、もう少しコンパクトにする努力は必要だったろう。轆轤首だけに首が余ってしまったようだな。




『ホットスポット・インターフェイス』

[解題]
『ホットスポット・スカーフェイス』の続篇。設定用語集をひっくり返した結果、その多様性におぼれてしまった。結果、この後の続篇は生まれていない。
にしてもこの手の懐古主義SFは魅力的なのだが、幅がきかないな。羽振りよく出せば出すほど息苦しくなっていくだけだ。




『女の園』

[解題]
人形怪談、ロボットSFなんとでも呼ぼうと思えば呼べるのだが、俺にだって羞恥心はある。この【千文字の饗宴】紅の章は、エログロがテーマである。
たとえばアダルトヴィデオがそれぞれカテゴリーで腑分けされるように、そこから各要素を取り出して、世に溢れるエログロの真部分集合(笑)を綴じ込めたいというのが本音。決してマンコと言いたくて書いているわけではない。どうしても気に障るなら「ウルトラマンの子ども」に差し替えたっていいぐらいだ。だがここまで直接的な物事を描いておきながら、誰もが胸のうちでは知り尽くしているだろう単語を……なんてのは野暮がすぎるか。ごめんなさい。




『血の花嫁』

[解題]
好事家たちを悦ばせる猟奇殺人への興味は、俺にもある。むしろ俺にとってのホラー真部分集合はそれらを詳らかに紹介したゴシップ記事であるに違いない。決して惨劇をネタに恍惚のオナニーを繰り広げているわけではなく、悪夢としてあるいは一級の恐怖コンテンツとして接しているに他ならない。
『不機嫌なモノリス』ではメタファー的にとある事件を取り入れているが、本作では、ポピュラーと化してしまった現代、いかなる視聴者にも伝わるパブリックイメージとして現れる。そして主人公の佇みはそんな視聴者の一人でもある自身のシャドウであろうか。ニュースを眺めるたびに、鮮血を帯びた花嫁が死にも生まれもするのである。これが悪夢ではないとしたらなんであろうか。




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年齢:31
性別:男性
職業:虚無員



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