手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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ハプニング

mixiに埋もれていたものを発掘。

またまた行くよ~
語るよ~


※長文フォビア(恐怖症)の方、シャマラン?シャラマン?愛人(ラ・マン)?言いづれえよ!!!!なんて身も蓋もない激昂をする方は素通りしてください。きっと他の人がもっと面白い日記を書いてます。そちらを楽しめばいいんでねえの。


ということで、昨夜、
二回目のダークナイトの後にハプニングを観てきました。
最終日です。
ごめんよ、シャラマン。


まぁ、観たかったのは山々ですが遅くなりました。


で、感想を述べます。
ダークナイトよりは短くなるかと思いますのでお付き合いください。

で、で、ダークナイトの感想でもそうだったのですが、監督のネームバリューというか実力や才能は一応知っておりますので、ただベタ褒めをするのも嫌です!
ということで、ケチョンケチョンにダメ出しします。
愛の鞭です。ムチウチです。


でわ、でわ、でわ、でわ

まず全体の感想。


どこのB級映画やねん(爆)

ちょっと僕は怒り気味ですよ。
シックス・センスは充分A級になり得る題材だったからいいとして、
アンブレイカブルのアメコミ、
サインの宇宙人、
ヴィレッジの森に棲む彼ら、
レディ・イン・ザ・ウォーターのナーフ
とB級の題材をA級に料理する、料理出来るというのが貴方の持ち味だったでしょっ、シャマラン!!
題材がB級テイストのものを選んでいるのだから、B級だと批判されても仕方がないのに、表現方法までB級テイストに甘んじたら、貴方らしさがないんだよ!!!!

まず、最初の三十分間。
どうしてあんなカメラワークにしたのかな~
こら、タク・フジモト!!(←撮影監督

確かに、今まで一番作品世界の規模が大きい作品だったけど、あんな撮り方してはダメ。
アマチュアですよ、あんなんじゃ。
DVDに収録されてるシャマラン監督の自作ビデオ映画をそのまま持ってきたのかと思ったよ、マノジ!!!!!←シャマランの本名


僕は何も、車の衝突シーンとかライオンのシーンとかを言ってる訳じゃないの。
教室の中、列車の中、公園のシーンだって、今までで撮り方は最悪です!!!!
ちょっと俯瞰してるでしょ、あんた!!
地面を滑って、こうキャラクターのそばからじっと覗き込んだりとか、キャラクターの視線の先から対面したりとか、部屋の中にある物からの視線とか、これまで培ってきた貴方らしい撮り方がない!!!!

ホント、誰の映画見てたか分からなかったよ!!!!


予告編から作ったかと思えるような広がりのなさ!


確かに後半はホラー映画でしたよ。
それもいわゆるオバケヤシキ型のビックリさせる奴ね。
でも、その使い方も間違ってる!!!!
サインとヴィレッジでは、惹きつけ方も絶妙だったのに、それをセルフぶち壊ししやがったね!!!!
自棄っぱちか!!


シナリオはこりゃどうしようもないね。
爪が甘すぎる。
オチがどうこうじゃなくて、流れが適当。
ワンアイディアの上塗りに頼りすぎ。
テーマが動きすぎ。
想像力使わなすぎ。
人を描かなすぎ。
何もかも中途半端。


ということで、ゴホンッ
僕は声を大にして言います

駄作。

でも、シャマランかわいい(爆)


ここまでケチョンケチョンにしてきたので、持ち上げま~す。



シャマラン監督はつまり映像としての映画の在り方を追求してるのね。

随所に見えますよ。そんな感じが。

確かに、これまでの作品はシャマランらしさ全開で来てたので、むしろこういう方程式を破る作品も新鮮です。


過激な映像の反面、静かな恐怖というのは、これまでの作品の裏返し。
シー ン一つにしても、たとえば道路のシーンはシックス・センス、列車のシーンはアンブレイカブル、ブランコ、食事のシーン、家のシーンはサイン、草原を走る シーンはヴィレッジ、老婆はレディ・イン・ザ・ウォーターの住人の一人を踏襲してるし、これまでの作品をすべて丸め込んだオマージュとして描いたのね。


もしかしたら、シャマランは作風を変えるのかもしれない。
作家監督としての限界を感じているのか。

確かに、こんな風な作品づくりをしていれば、脚本を書かせてもらえなくなるかもね。
たぶん、過去五作では脚本の追求をしていたのでしょう。
シックス・センスで脚本の定義を覆し、ジャンルの陰に潜むドラマという手法を成立
アンブレイカブルは延長戦上で、プロットの構築を進化させ、
サインでサスペンスやホラーと人間ドラマの融合を完成させ、
ヴィレッジでそれらとテーマの結び付き一つで作品舞台を作れるかを実践し、
レディ・イン・ザ・ウォーターでその手法を世界観構築に広げた。
ハプニングでは、現実に起こるかもしれないという点で無限に広がるストーリーを選び、映像について、これまでとは違った表現方法を模索しているのかもしれません。

と思ってしまうのはファンの驕りでしょうか。


ただ、単なるパニック映画では語れない、まさにシャマランらしいといえばらしいオリジナリティーがハプニングにはありますし、前述ではB級だと罵りましたが、レベルは決してB級ではありません。

後半描かれる恐怖はテーマから逸脱していますが、今までで一番おぞけを感じました。
脅かしに頼ってるのはシャマラン流ですが、恐怖度は格段に増してます。ホラー映画としては過去最高のアプローチです。
それに脚本と映像がピタリとはまれば………orz


まだまだ面白くなる。
……はずだったのに、残念。

シャマラン作品で初めて観賞後にカタルシスを感じなかった。
でも、やっぱりシャマランは映画界で唯一無二の才能の持ち主であると再確認しました。



この作品はシャマランの実験作ですね。
それこそ実験データのなんとかかんとかです。
だから、他人にはお勧めできません。きっとシャマランが嫌いになると思います。


過去五作を観て、好きになった方は観てもいいかもしれません。
ただこの作品はターニングポイント。


それでも好きな風に、自由に作品を創作し、才能を育み、自己追求しているシャマランはかわいいし、かっこいい。


きっとDVD出たら迷わず買うだろうね。


だって、俺、シャマラン好きだもん(笑)



てな感じで、内容というより作り方に不満は残りましたが、監督の目指す先を知れたみたいでますます好きになりました。


あとは配給会社のふところが完全に閉じないことを祈るばかり。


ハプニングという題名は元々、グリーン・エフェクトという題名だったらしく、誰が変更したのか分かりませんが正解です。

何かが起きている。

シャマラン監督の中で、何かが。


ハプニングもまだまだ面白くなれた。
シャマランならまだまだ面白くできた。


ハプニングの後に待つ結果を楽しみにしてまする。



M.ナイト・シャマランに最大の愛と敬意を込めて。





P.S.
ヒロインのズーイー・デシャネルが可愛かった。
……けどそれは、また別のお話。
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