※長文アレルギーもしくは、暇がないので手早く読みたいなんて書いてる側の気構えを察しない輩は、心臓に悪い為、読まない方が懸命です。
で、ネタバレ全開ですので、よろしゅう。
さて、語るよ~8(≧∀≦)8
語っちゃうよ~ッッッッッ
でわでわ、タイトルで察しのいい方はお気付きでしょうが。
バットマンビギンズの続編『ダークナイト』を観てきました!!
今さらとか言うなよ。
今さらとか言うなよ。
でもまぁ、観てから二日経ってるので興奮は冷め気味です。
ただし、これだけは胸を張って言える!
2008年、十数作映画を観ましたが、紛れもなくトップ確実。
あまり僕は映画を観ても、酷評というか面白くないという感想を抱かない人間なので、トップうんぬんと言うのも珍しくありませんが、興行収入等他の観客の反応からしてみて、この作品が近年稀に見る傑作であることは確かです。
ジョーカー役のヒース・レジャーの訃報や前評判から、この映画に対しての期待度は高かった。
で~も、ここで残念なお知らせ(個人的に)。
この作品は、バットマンビギンズの続編であります。
でも、僕はビギンズを丸々全部見たこともなく、大した評価もつけていませんでした。
何故か。
監督クリストファー・ノーラン
主演クリスチャン・ベール
出演ゲイリー・オールドマン
マイケル・ケイン
モーガン・フリーマン
リーアム・ニーソン
渡辺 謙
キリアン・マーフィ
ルトガー・ハウアー
ビギンズのキャスト↑
ね、これ。興味ない人にはさっぱりでしょうが、僕的にドつぼにハマってます。
このキャストで面白くない訳がないと。
と ころが何だかんだで、あまり惹かれなかったのは、映画バットマンシリーズが、過去4作(無印、リターンズ、フォーエバー、&ロビン)のようなテーマパーク 的面白さの象徴だと思っていた僕に責任がありますが、それでもゴッサム・シティという架空の都市にリアリズムなんてものは不要だと思っていたのです。
てことで、本作も期待していた訳ではなかったのだけれども……
これがね、完成度が激ヤバです。まったくムダもなければアラもない。
こりゃあ、絶賛されるのは当然ですよ。
バットマンというバリューネームもあるし、ビギンズがヒットしたのも拍車がかかったりなんだりで公開当初から期待は大きかったのだと思うので、それを陵駕するほどの作品を作った監督は賞賛に値します。
僕的アカデミー賞確定(笑)
なんて、盛り上がって書いてますがここまでは水曜日の夜に書きました。
んで、昨夜。
二回目観ちゃったのねん。
でわでわ、改めて感想。
の前に、わたくし。
映画好きは皆様知ってのとおりでございましょうが、批評だのなんだのはしたくない人間です。
面白くないと思った作品についてはわざわざ語りたいと思わないし、そんな感想を抱くことも少ないので、感想はベタ褒めありきがしばしばです。
で、す、が、
今回は上記のとおり、つまらない訳がない作品なので、二回目は冷めた目で観てみました。
まず、二回目でも息を飲むほど良く出来てます。
メメント、フォロウィング、プレステージの監督ですので、伏線はまさに職人技です。
どんでん返しは全体通して三、四個ありますが、その見せ方もドンピシャ。
ここまで緻密かつ効果的な脚本書けるのはノーラン兄弟の右に出るものはいないのでは中廊下。うん、なかろうか。
序盤の銀行強盗のシーンからしても、
女性警官ラミレスとその母親についても、
銃弾に倒れたゴードン警視にしても、
さらわれたデントとレイチェルの居場所にしても、
細かいジャブが効いてて、まったく飽きさせませんし、それを脚本上の緩急どころとしてではなく、次場面のドラマ作りに欠かせないものであるところがため息もの。
時間軸というか場面の切り替わりは芸術的と表現していいほどで、アクションとサスペンスをうまい具合に融合させていて、これはまさしく脚本と演出双方の出来がいいんだねと。
映像的には、
ラウ社長の誘拐、
トラックの宙返り、
中央病院の大爆発、等々
口をあんぐりさせるほど派手なシーンがシナリオ上にポコポコ配置されていて、見応えあり。
特に病院の爆破は映像一つでド肝抜かれる、貴重なシーンです。
演技面では、
クリスチャン・ベール
マイケル・ケイン
ゲイリー・オールドマン
モーガン・フリーマン
の主力メンバーは語るも不要。
クリスチャン・ベールは確かに影が薄くも感じますが、目線一つで感情を表現できるのはスゴいです。
ゲイリー・オールドマンは、もうすっかりイイ人キャラが板についちゃってて、昔の面影よりもこちらの人相の方が適役だと思ってしまいました。場面場面のイイところを持っていきますし、最も自然体を演じ、観ている側に安心感をもたらせていたのは彼かもしれません。
マイケル・ケインとモーガン・フリーマンは流石というべきで、ベールやレジャーがキャラクターに自分自身をのめり込ませていたのに対し、キャラクターそのものを自分に引き込ませていました。これは経験が為せる技ですね。
んで、ハービー・デント役のアーロン・エッカート。
顔は何となく見覚えがあるようなないようなで、まったく期待しておりませんでしたが、良かったです。ホントにかっこよかった。
光の騎士たる高潔さが立ち振る舞いから滲んでいて、ケツアゴばっかり見てしまいましたが、意思の強さも感じられる身のこなしで、隠れたハマり役ではないでしょうか。
ただし、ハービー・デント役に関してだけ。
んで、レイチェル・ドーズ役のマギー・ギレンホール。
実弟であるジェイク・ギレンホールは
遠い空の向こうに
ドニー・ダーコ
ゾディアック等で好みの俳優の一人ではありましたが、お姉さんの方は……。
いやはや、スパイダーマンのMJ(キルスティン・ダンスト)を思い起こさせる風貌でしたね。そこしか記憶にありません。
MJはまだ若さと胸ポチ(?)が功を奏し、可愛げがありましたが、いかんせん歳を取りすぎてます。アップがキツかったです。
ただ、キャリアがある分、演技はしっかりしてましたし、クライマックス(彼女が最後に登場する場面の)は、迫真の演技で、表情に映るもの以外の何かを感じさせました。
残念な結果ではありませんが、演じるのが彼女でなければならないと思わせる部分が見当たらなかったので、ルックスの無念さばかりが残りました。
最後、ヒース・レジャー。
これは……まぁ、スゴいとしか言い様がありませんね。
この数ヶ月後に亡くなったという事実を抜きにしても、絶賛されたでしょう。
ただ不謹慎を承知で言えば、訃報も必然だったのかなとも思いました。それほど鬼気迫る演技で、もし仮に悲劇に見舞われなくても、レジャー自身この役を超える演技は出来なかったものと思います。
それほど何かに取り憑かれた(実際、撮影時はドラッグを使用していたという噂もありますが)演技なくして、この作品は語れません。
個人的に気に入ってるシーンは、留置所から脱走した場面で、窓から身を乗り出しながらパトカーを運転するシーン。
それから、幾つかのビデオ映像。
んで、病院から立ち去る時のコミカルな場面。
ホント、かっこいい。
と、ここまでべた褒めだったのでここからは僕に似合わず、けなします。
とことんけなします。
え~、確かに完璧ですよ。
昨年のプレステージと言い、ノーラン監督の映画は二年連続で二回以上、劇場観賞してます。
それほど面白いし、プレステージの脚本の緻密さをそのままにエンタメ要素とテーマ性をめいっぱいぶち込んだ最高傑作です。それは変わりません。
ただ、完璧過ぎるのです。
脚本に無駄がなさすぎ、というかアイディアを緻密に詰め込みすぎて、テーマ性さえも一種のガジェットになっちゃってます。
たとえればですね、
ん~と、目の前で複雑なジグソーパズルを完成させたようなもんです。パズルが完成して浮かび上がる絵がテーマだとすれば、その絵を見るよりもパズルが完成したことそのものに歓声を上げてしまいました。
もちろん、それは悪いことではありません。
映画のテーマがもっと単純であればバランスは良かったのですが、テーマ自体も複雑なパズルのようにちりばめられていたので分かり辛くなっています。
そ もそも、バットマンをはじめとするアメコミ映画はキャラクター映画なので、過去作品を含め、キャラクターありきのストーリー、キャラクターを楽しむ映画で ありました。だから、ティム・バートンはそこを割り切って、映画バットマンでジャック・ニコルソン演じるジョーカーをデビリッシュかつコミカルに撮りまし た。
でも、ダークナイトはあくまでリアルを追求し、ヒース・レジャー演じるジョーカーをクレイジー、フリークス(化物)として、異端として生まれた故の悲哀を同時に描いてます。
これはX-MENとかハルクに通じるもので珍しくはありませんし、この二作よりかはあまり痛烈に描いておらず、テーマとしてはそれよりも、
正義と悪、表と裏、自分と他人、などの二面性をメインに描いてます。
バットマンとジョーカー
バットマンとデント
ブルースとデント
人質と手下
囚人と市民
裏切り者は誰か
デントのコイン
トゥーフェイス
などなど、テーマを幾つかのメタファーを使ってまとめている、しかもかつてバットマンフォーエバーでトミー・リー・ジョーンズが演じたトゥーフェイスを対比の象徴として描いたのは目から鱗。
ただ、このテーマを描くにはあまりに芸が細かすぎた訳ですね。
キャラクター映画であるはずのバットマンが、ストーリーありきのキャラクターに成り下がってしまっているのが、バートン派の人に受け入れられない理由でしょう。
もちろん緻密な脚本自体、ノーラン監督の評価の源ですから、監督ファンとしてはその手腕を見れたことで感激もひとしお
バットマンというキャラクターを新しい視点で描くという意思も評価すべき点ではあるし、何より監督のバットマンに対する愛情を感じる点もありますが、
バートンやシューマッカー監督が描いたバットマンが実際にいることを少なからず意識した上で、キャラクター映画としてのアプローチはなくして欲しくなかったです。
ただ、キャラクターを強調するという点で、ヒース・レジャーをはじめとするハマり役の俳優をキャスティングしたのは紛れもなく大成功でしょう。
そういう意味でも、完璧に近い。
他に幾つか、難点を上げるとすれば、
やはりレイチェルのキャスティングミスと、トゥーフェイス。
二人の悪役(ジョーカー、トゥーフェイス)の結末をああいう形にするのであれば、デントではなくトゥーフェイスのシナリオをもっと書き込んだ方が良かったし、終盤駆け足に見えました。
トゥーフェイス登場の時点で充分観客を引きつけているのですから、もう一個深く突っ込んでも良かったと思います。
二時間半という全体の尺に、トゥーフェイスという敵役は宣伝されていなかったので、観客の期待を損なう恐れを懸念したのでしょうが、長さでとやかく言う観客は最初から観にくんな、ということで、最後まで傑作を見せてもらいたかったです。
ただ、ジョーカーは精神病院行き、レイチェルは死亡、トゥーフェイスは死亡
一方、ジョーカー役のヒース・レジャーが実際に故人ということで、
続編を作るのが非常に大変だと思います。
作中で、ゴードン警視のどんでん返しがあるのでもしやレイチェルやトゥーフェイスも?なんて期待はなくはないですが、X-MENのフェニックスじゃあるまいし、世界観からして可能性はゼロに近い。
ジョニー・デップのリドラー、アンジェリーナ・ジョリーのキャットウーマン。
インパクトとしては、本作を超えるかもしれませんが、ただのスター映画になってしまわないことを願う。
最後に改めて言います。
近年稀に見る完成度。
アメコミ映画、アクション映画、サスペンス映画(ちょいホラー映画)の傑作。
是非、劇場で見ることをおすすめします。以上
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