これから私がお話することはすべて実話である。したがって、本日はじめてお目にかかれる読者の方々には、この物語を是非内密にし、金輪際、記憶の檻から出さぬようにご注意願いたい。
あれは取材で、とある作家の書斎に宿泊するという企画の最中だった。三日間と予定していた内の二日目だったと思う。その作家といえば『暗黒の■』という題の怪奇小説で有名だが、一方で、その謎めいた本人の最期が語り継がれている。昭和二十三年■月■日。彼は書斎で執筆中に突然■■し、妻子の制止を振り切り、書斎に飾られていた家宝の■■■で妻子の■を■ね、そのまま■■の喉元を■■■と■って自害した。
彼は直前に書いていた日記の中で、こう記している。
“部屋の隅から、■の引出しから、本棚の■から、■熱■の傘の陰から、カアテンの■■から、じろりと見つめる■がある。アゝ■■■いになりそうだ。■■■■■■■■■。妻も息子も信じてくれない。このまゝ見つめられながら、生きていくことなど■■■ぎる。せめて顔を出して欲しいと願つてみれば、アゝなんと莫迦で、真抜けで、■■■■じみた願いだつたことか。小生の願いを聞き入れて、■は、ゆつくりとやつてくる。気付かぬ内に潜んでいるのだ。アゝもうやつて来ている。暗黒が……”
怪奇現象を検証するために、書斎に泊まったものの、一向に何かが現われるような気配はなかった。だが携帯電話は圏外になり、皆、時折ノイズを聞くようになった。耳を■■■くようなノイズ……ほら、今も聞こえた。すでに一人、ノイズの■にやられて、寝込んでいるものもいる。
二日目の夜。■■は私たちの目の前にやって来た。私たちを包む、■■の群れ。そこで気が付いた。これが■だ。作家の日記に遺された■の正体だ。縦横無尽に積み重なる■■。■■、■■■、■■。記者の一人は■に潰され、■■と■■に挟まれた。そんな馬鹿なことがあるのか。■■■■■、■■■■■■……。
■■■■■、■、■、■、■、■。
……■■■……■■。
アア、ノイズが溢れていく。■■ばかりだ。見えるだろう、貴方にも■■の姿が。ほら、ここにも!
消えない。ノイズとともに暗黒の淵から舞い降りた、死を宿す■が。
記述し終わった私は新たに介入してくる●を見た。●は何処から現れ、私たちをみるみる潰していく。
新たな秩序か、崩壊か、その正体を誰か教えてくれないか。
注:)この物語は●ィクションです。
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