7月の鑑賞メーター
観たビデオの数:12本
観た鑑賞時間:1367分
ピアノチューナー・オブ・アースクエイク [DVD]3回挑戦して3回とも寝た。冒頭20分がつまらなすぎる。どうせのちのち人形劇やら映像のリフレインやらで心をほっこり(?)させてくれるんだから何か掴みみたいなものが欲しかった。熟女に腋のした嗅がされて私は森の化身なのって言われた日にゃトチ狂ってんのかこのバーバと思いましたが、映像的にはラストシーンだけでも一見の価値あり。シュヴァンクマイエルが仮にも耽美の人形技師であるなら、クエイ兄弟には退廃の美学がある。手首の漕手(勝手に名づけました)や庭師、舌歯をもつ装置など素晴らしき発明は多々あるのにもったいない。
『モレルの発明』、『ロクス・ソルス』が下敷きということで人間の影を閉じ込める機械や輝かしき生の一瞬を繰り返す死者というモチーフが現れる。アリアを歌う機械ということでいえば『ホフマン物語』にも関わってくるに違いないし、不勉強ながらWikipediaで調べたところ監督はそっくりそのまま『サンドマン』という作品も作っているようだ。鑑賞中はどことなく秘蔵のバンドデシネを嗜んでいる気分だったが、むしろニール・ゲイマンに代表されるアメコミの ダークサイドに触れているのかも。もちろんクエイ兄弟はアメリカ生まれだし。
鑑賞日:07月27日 監督:
ブラザーズ・クエイシン・シティ スタンダード・エディション [DVD]【複数の脚本が並列してということだから、『去年マリエンバートで』とは言わずとも『クラウド・アトラス』には繋がるかぁ、と思ったけど別に関係ないっす兎にも角にもブルースのおいたん!】シリーズ。初見ではないのですが続編も近々ということもあり。主役格3人+ベニチオ・デル・トロに痺れっぱなしの2時間。そしてジェシカ嬢を始めとする夜の街のピーちゃんたちに鼻の下伸ばしっぱなしの4時間(継続中!?) もうこの映画の切り出しでヴィジュアルノベル作ってもらいたいぐらい(特にジェシカ嬢の場面)。腹黒ベッキーも可愛いから許す!
もうね、女の子が魅惑的に出てくりゃもうその感想しか書かないってのもどうかしてますね。悪癖ですね。でも俺が男に対して「かっこいいッ」とか「しびれるぅぅぅ」とか好感抱くのはほんとうに稀ですので、しかもおじさんたちでしょ、むさ苦しいっすよ。むさ苦しいおじさんたちが魅惑的なピーちゃんたちとイチャイチャしてるわけですよ。
思えばマーヴ。イカツすぎる顔で女に相手にされなかったとか言うてるけど、ジェシカ嬢と、レズビアンとはいえ巨乳監察官が親しき仲って、それとんでもなく勝ち組やないか。出演してる女優陣のなかでも上玉の2人やないか(俺主観)。尤もジェシカ嬢はブルースのおいたんしか見ていないんですが。Shit! でも確かに「かっこいい」のだ。それでいいのだ。まぁあの年齢差は海外では珍しいことではないのかなん。俺もそんな60代になりたいっす。
ゲスい話題は置いといてイエローなんたらいうやつはキモかったね。出てきた瞬間、あ、失敗したなって思ったもの。どこの黄金バットだよっていう。で死神的なヤツかと思ったら、ジュニアかいッ、副作用かいッ、ってね。ハルクとDr.マンハッタンとザ・シングとミスティークとシルバーサーファーと一緒に6レンジャーって作ればいいのにね。赤がいない! 青がかぶってる! 単色系ミュータント版アベンジャーズ!みたいな。赤がいないで思い出したけど、この映画モノクロで血しぶきの朱が白だからスプラッタ嫌いの俺でも無問題。 充分ゲスいけど。
あと異様にちょこまかしてる車が可愛らしかったですね。コミカルってああいうことを言うのね。いやほんとうに楽しい映画ですよ。
鑑賞日:07月26日 監督:
Array,フランク・ミラー,クエンティン・タランティーノ去年マリエンバートで HDニューマスター版 [DVD]【ちょっとここで、古き良きSF映画のついでに小説執筆のためのお勉強ターイム。テーマは『藪の中』ではなくて『モレルの発明』です。】シリーズ。不勉強ながら、あっしも町山智浩氏のポッドキャストで本作を知ったクチ。噂に違わず眠気を誘うなこりゃ。ぼんやりとしているうちに荘厳たるオルガンの音色や淑女の甲高い悲鳴で目が覚めるのを何度か繰り返して、ようやく辿り着いた感じ。移ろいのある展開を繙けばさぞかし単純な恋ものがたりが明らかにされるやもしれん。しかし、夢を詮索してはならぬように、迷宮は迷宮のままそっとしておくがよい。
にしても『独身者の機械』といい、ロブ=グリエの著作もまた手に入れるのが難しいとある。講談社文芸文庫・河出文庫で数冊あるっきり、他は文庫落ちしていないという(8月に光文社古典新訳文庫にて『消しゴム』が出版されるらしいが)。いわんや原書『去年マリエンバートで・不滅の女』にいたっては幻のまぼろしだ。翻訳:天沢退二郎と蓮實重彦と、天上人、大人物だけに手も届かないのか。それはさておき、次は『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』を観るの だ。
鑑賞日:07月26日 監督:
アラン・レネ12モンキーズ [DVD]【LOOPERのおいたんとTIDELANDの監督がッ! そうです。僕のための映画です】シリーズ。むう、『プンタ・デル・エステ組曲』を聴いただけで小学校時代にタイムスリップしてしまうわ。と、感慨深いものはあるんですが前半が非常に退屈なのは相変わらず。今回もうつらうつらしました。ただ何度観ても動物のお散歩シーン(違う)は楽しい! あとループものとスリップものを比較するわけではないけど、こういう親切な伏線回収も時間SFの醍醐味ですよ。ループものでは扱えない伏線ですが。てか、ブルース・ウィリス変わらんなぁ。あと『未来世紀ブラジル』まんまのシーン。非常に(・∀・)ニヤニヤするんだけど、ブラジルの方が好きかな。必然性とか画としても、ね。
鑑賞日:07月25日 監督:
テリー・ギリアムタイム・アフター・タイム【打倒!LOOPER! 古き良きSF映画を嗜むシリーズ!】ということで嗜みました。かのタイムマシンmeets切り裂きジャックって触れ込みながら、ジャックの正体は冒頭で判るわ、史実をなぞることもなく解決してしまうわと改変歴史モノを期待すると口ポカン。人物の行動(特に殺人を未然に防ごうと動き出したあたり)もどことなく古き良き予定調和もあって、さすがに今現在の論旨をもってすりゃダサくも駄作。ただほんとうに純粋な夢想のマインド、むしろ手触り、こういうものを忘れてはいけない、忘れたくない、そう思える作品でしたね。
鑑賞日:07月20日 監督:
ニコラス・メイヤークラウド アトラス ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]超絶超超超ケッ超ケッケッケッ超超超傑作! オールタイムベストと言ってもいいッ。というか俺のしょうもない100年未満の人生残り50年あるかないかの人生、これを超える作品は出てこないだろう。うんにゃ、すまん言い過ぎたッ! アクションシーンはちゃちいし、R-15の原因であるゴア描写はコメディだし、赤毛のペ・ドゥナは手抜きかぃッと叱りたくなろうがそんなんどうでもいい。基本的にジャンル映画の寄せ集め、それでも好事家にとっちゃ宝箱なのは言わずもがな。どこぞのルーパー映画含めて問おう。SF映画よ、SF愛を忘れるな!
少しクールダウンしましたので細かいところを幾つか書こうと思ったけど、なんかだめ。詳細には書ききれない。なのでザックリーと、否、ざっくりと。
1973年のハル・ベリーの甥っ子がもうちょっと絡んでくるかな(『レディ・イン・ザ・ウォーター』的な感じで)と思ったり、1931年の音楽家エピソードは『PLUTO』版のノース2号を思い出してニタニタ。2012年ではもちろん『ソイレントグリーン』の言葉ににやにや、そのネタは2144年でもろ引 用されるわけで口あんぐり。いや、だろうなとは思ったけど。ちなみにリサイクルのシーンはどうしても『電話がなっている』を連想せずにはいられない。そし て2321年は『タイムマシン』と『アポカリプト』を足された感じで、「敵の寝首をかいてはならない」ってお告げを守らなくても助かったじゃんってツッコミは置いといて、とにかくロマン。悪魔うざいけどとにかくロマン。それから、悪魔の山ですか。正直、山の上に原発でもあるんだろうと見越してたんだけど関係なかったっすね。そりゃそうや。てか、チャンは銃撃戦で死んだとか言っときながら 変な爆風に飛ばされてすんなり事切れてたのにはズッコケましたね。まぁ、銃撃戦であることには変わりないか。
で誰しも思うところでしょうが、全体的には『火の鳥』だわね。いいよね『火の鳥』。この映画(小説)でやろうとしてることを何十年も前に漫画でやろうとしてたんだから、手塚治虫は偉大だ。オサム様と呼ぼう(失礼 諸行無常、輪廻転生、因果応報なんてのは同じ俎上で語れないのだけど、そんなん言葉にしなくたって日本人の心にはよく響く。これをニーチェの永劫回帰に擦り替えるなら、まさしくこの映画こそ「およそ到達しうる最高の肯定の形式」なのかもしれな い。よくわからんが(笑)
ちなみに都合3時間ぐらいあるこの映画。確かにダレるところもあったけど、もう2時間は堪能してもよかったかな。でもそれぐらいもっとじっくり巧緻精妙さを味わいたかった。
鑑賞日:07月19日 監督:
ウォシャウスキー姉弟Looper/ルーパー[英字幕のみ]え、ダメダメ。ちゃんと整えようとすごく真面目に作ってるのは分かるけど、はっきり言って偽善にしか思えないな。だってブルースのおいちゃん何も悪いことしてないやん。子どもの命に重きを置くのはいいとして、もう片方の天秤にはなんの罪なきワイフと、産まれていたかもしれない(ここら辺はよく解らないけど)その子どもの命も乗っかってるんやで。……タイムパラドックスてね、複雑怪奇すぎるから迂闊に手を出さない方がいいって典型。でもそういう理論的なところは妥協できるけど、子どもを立てて未来を語るドラマツルギーへの甘えはゆるさん。
殺人を犯した主人公への粛清を兼ねてとは言ってもね、別に一般人に手をかけたわけでもないし、法で禁止されてるってのとモラルに反してるってのは別問題だよチミィ。まぁいいや。大人の身勝手が子どもの未来を歪ませてしまうって話に持ってく? でもあの子どもはすでに何人か殺しとるやんか。そもそもの元凶あの超能力やんか。遡ってそこから問題解決って話にはならんわけ? というかタイムトラベルってなんでできるようになったん? 組織が壊滅すれば未来に過去への送り込みシステムが生まれることはないんだから、その時点でブルースのおいちゃん消滅したっていいんでない? ていうかあの子どもルーパーのこと理解してんの? じゃなきゃ将来ルーパーいじめに繋がらないよね、まぁそのていど。タイムトラベルはましなことに使いたいもんです。というかサラ死んだら主人公が子ども引き取って育てればいいだけの話。誰も損しない。サラ以外。まぁそれはビッチの粛清ということで。(鬼畜
今日一日考えてたんですが、やっぱり一番の問題点は、ブルースのおいちゃんがサラを撃つ必然性だと思うな。あれサラにも銃持たせりゃよかったね。一触即発 で仕方なく撃つって状況じゃないからジョーの幻視も都合よく見えるのだ。サラを撃ったあと子どもを撃つ余裕もあるだろうし。ループの始まりにこそ説得力がない。あとブルースのおいちゃん悪いことしてないって書いたけど、無関係な子どもを殺してますね。すっかり忘れてました。でもだからと言って因果応報が成 立するってのは乱暴すぎ。すべてが早とちりでサラを撃ったブルースのおいちゃんの自業自得だって片付けるのが乱暴すぎるのと同じように。でこれらは重箱の隅をつついているわけでも、ループ物としての欠点を責めているわけではなくて、シナリオを順当に追ってもおかしいよなという話。
鑑賞日:07月16日 監督:
劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD梅雨時はメンヘラ日和か。先月だったかサッシにダニの集合体見つけて以来、寝てると足にまとわりついてるんじゃないかと不安でねぇ、今では気になんなくなったんだけど。あと普段革靴でしょ。夏場は水虫とかね、指ならまだしも足の甲とかね。つまりそんなむず痒さよ。靴職人だけに隔靴掻痒とはこのことよね。ED曲けったいな転調する曲やと思えば大江千里のカバーでした。靴じゃなくて雨に喩えよか。30%ぐらいの予報で、あ、降りだしたかなと思ったらポツポツ……という、降るなら降れ降らないなら降るなとでも言いたくなる、まさにそんな作品。
鑑賞日:07月15日 監督:
新海誠ローズ・イン・タイドランド [DVD]この手の少女映画が大好きだ。少女という偶像の偏愛やまったく教育に悪い怖いもの見たさではない。少女は女だ。女は強い。果敢であり爛漫で、男を骨抜きにするのはトリップでも騎乗位でもなく、女のなかから消えることのない少女性なのだ。そんな少女が夢から醒めたときの寂しくも強かな顔を拝みたいのだ、男は。ラスト、妖精の舞を見つめるローズの瞳は変わらず透いているが、そこに烈しい覚醒の炎が宿っているように思えたのは気のせいだろうか。少女に対するサディズムは、女に対するマゾヒズムだ……あぁ、知恵持つディケンズはキスさえ怖い。
鑑賞日:07月14日 監督:
テリー・ギリアムドッペルゲンガー [DVD]普段の嗜好であれば『叫』や『LOFT』のような如何わしさ忌わしさを前面に押し出した、言ってしまえばチープな、だけど(黒澤でもクロサワでもなく)黒沢映画として一定の至高を保ち、他のホラーやミステリーに類する商業作品とは膚の色も合わないような奇っ怪な作品を薦めたい。ところがどっこい一寸のムダも隙もない映画とは、作風の主流から外れて現れるものだ。自分を見つめなおす、とぼやいた瞬間に退場していく柄本明に象徴されるように、モチーフである現象とは裏腹に客観性は全く排され、「やりたいようにやる」という核だけが残される。アイデンティティー問題につきものの自問自答の堂々巡りから脱す、おおきな娯楽性を体現したシニカルな(これぞ)“ホラー”。個や社会における“私”というものに苦悩する人間にとっては酷く羨ましすぎる理想の佇み、アイデンティティーのその先のポジティビティー。
鑑賞日:07月07日 監督:
黒沢清悪の教典 DVD スタンダード・エディション母の一周忌その日に観るにはあまりに不謹慎極まりない。そんな母が生前『天使の囀り』だったか『青の炎』だったか忘れてしまったけれど、作者紹介を眺めながら「京都大学? 頭いいのねぇ」と言っていたっけ。後にも先にも母が俺の蔵書に興味を示したのはそれだけだった。そういう意味でも貴志祐介という作家は俺にとって特別な存在なのだ。ホラーの醍醐味をはじめて学んだということを差し引いても、だ。ところが『硝子のハンマー』以降まったく読んでないのだから何を云っても無価値だろう。さて本篇、いささか物足りなかったです。
『黒い家』の飛び道具とか『ISOLA』のぐにょーんとかが忘れられない人間としては、ゴア描写のプロとも云える三池監督の手腕が逆にネタっぽくてダメ。 大東亜共和国であぼ~んみたいな映画、というか小説ならありだけどな。てか、『バトル・ロワイヤル』と本作を並べると如何なのだろう。日本ホラー小説大賞的に。どうせ観るんだったら俺は、死に方のヴァリエーションも秀でているバトロワかな。まぁ、バトロワ、観たことないんですけどね(笑)なにせ俺はこうい う血反吐にまみれた映画が大嫌いなのだから! そんなわけでどうせ三池作品観るなら『インプリント~ぼっけぇきょうてえ』でキマり!
鑑賞日:07月04日 監督:
三池崇史回路 [DVD]ときどき死を忘れるときがある。いなくなりたいと思うことは何回もあるのに不思議なものだ。孤独や苦悩から解放されることには惹かれるが客観視すれば消去と変わりないわけで、やっぱり絶対的な生には敵わない。たとえそれが哲学的ゾンビの末裔だったとしても、生きていることは何てったって素晴らしいのだ。……と感想にもならないことを書いてみる。感想 ⇒ 小雪のアップが一番怖い。にしても、加藤晴彦はほんとうに消えたな(笑)
鑑賞日:07月02日 監督:
黒沢清鑑賞メーターPR