－週刊 楡井ズム－

豆富小僧（オフィシャルサイト）

　連れが、京極夏彦原作という惹句に惹かれたらしく、久々に映画館に行ってまいりました。
　そういえばアニメ化の噂がちらほらあったなあと思っておりましたら、あらま3D映画に！？
　とはいえ、時間の都合で2Dで拝見。

　まったく事前情報皆無で行きまして、ちらりと映画館にあったパンフレットを見ましたら、主演が深田恭子、武田鉄矢……ああ、こういうアプローチの映画なのね、とかなりハードルを下げていざ入場。

　しょっぱなから3Dありきでつくられた画像にあんぐり。
　いえいえ、いいんですよ。3Dで観なかった僕らが悪いんですよ。
　でもね、面白ければいい。許せる。
　けどね、許せなかったなああああ。

　現代に移り変わるところまで、いやいや大泉洋演じる死神が出てくるところまではよかった。
　人間が出てきてからもう興ざめですよ。
　眼鏡のキャリアウーマンが科学者だかなんだかで天候を操る云々の東京スカイツリーめいた何かが完成したよおめでとう、ってなんだよそりゃ！
　しかもカクカクカクって動き、『ホッタラケの島』からまったく技術が上がってないのね。

　んでね、変な関西弁のどんぐり出てきてね。袖引き小僧っていうらしいんだけど、どんぐりって何でｗｗｗｗ
　ねー。

　で、まあストーリー的にはね、何と言うか、まあ、うん、あの、分かる！そうだよ、純粋な気持ち大事だよって、思わないと楽しめないっていうね。

　最後、嵐が来るんですよ。台風？　まあネタバレですけどね。
　んで、じゃあ眼鏡美人のつくったあの科学兵器 すんばらしい何かの出番だわいなとばかりにやれ人間の悪しき魂くらえっっっバビューンボガーン！！
　いやいや雲吹き飛ばしてるだけやん！　他の地域にしわ寄せ行くだけやん！
　んで、案の定、雲無傷ぅぅぅ。おまけにちょっと強くなってるぅぅぅぅですよ。でしかもね、人間の悪しき魂って言いましたけど、どれもこれも全部狸の仕業なんですよ。周囲の人間にみんな狸が取り憑いているらしいんですよ。まあ心霊狸はかわいかったけどもね。
　で、なんで、眼鏡美人には取り憑かないんだっけ？
　綺麗だから？　綺麗な美人さんには手が出ないのけ？
　　シャイかっ！！　みたいなね。

　こういう天災を扱うのは今の時勢的にちょいとナーバスな感じもあるんですよ。そもそも天候操ってどうするのかさっぱり分からない。もちろんどうやって開発したのかも説得力ないし、細っこ眼鏡美人がひとりで作ったみたいな雰囲気なのね。お前、妖怪よりすげえよって話ですよ。
　んで、この眼鏡美人の娘が本作のヒロインになるわけだけど、まったくその背景が見えてこない。ははーん、それが現代の親子像ですよってか！　くぅーー、一本とられたねぇー。学校ぐらい通わせろバカっ！
　友だちもいないんですよ、この子。たぶん。
　あのね、自転車に乗れるね、あれぐらいの歳だったらね、親と同じくらい友だちって大事よ。なのに描かれてない。つまり、いないんですよ。友だちなんていましぇん。父親不明だし、母親はなんか研究所みたいなとこでシコシコシコシコ天候操るぅなんて意味ふみえなこと言うて家庭をかえりみませんねん、だからあっしは友だちいないんですよぅ、って教育に悪っっ。

　これを親子で観に行ってみんな面白かったねえっていうのかな。俺だったら、こういうときこそ励めよPTAっ！って思うけどな。まあ、子供向けだからいいんでしょ。アニメだから。豆富小僧きゃわいいから。

　ってか豆富小僧ね、大してかわいくない！
　もうゆるキャラどストライクせめたいのは分かるけど、アップは結構キツいぜー。
　それで声が深キョンで、おとっつぁぁぁぁん！！とか、手前は妖怪でつとか言ってるんですよ。
　もうなにがなんだか……。

　声といえばね、男性陣はよかったですよ。
　達磨も、狸の大将も、おとっつぁんも、死神も。どんぐりもね、まあやるべきことはやりましたよ。
　ただね女性陣。
　豆富小僧はね、もう声が深キョンそのもので、すっごいきゃわいいの。きゃわいいんだけど、きゃわいいからこそ余計にヴィジュアルがキモイのよ。であとヒロイン。我らが（？）平野綾という名前で生まれた女神様ですけどね。うますぎるだろお前っていう。
　母親死ぬんですよ、一回。超ネタバレですけどね。
　んで、泣くのヒロイン。もうね、すごい芝居泣き。うますぎるし、子どもなのに、ってんでもう違和感バリバリですよ。クライマックスなのにね。んで、輪をかけて豆富小僧が諭すように語り掛けるんです。わしの豆腐いらんから、骨に食わせて、眼鏡蘇らせ魔ひょーーって（若干の嘘）。
　嗚呼っ、すばらしいっ、自己犠牲っ！
　こういうものを子どもに見せたいわんっ！って、もう完敗ですね、僕は。
　まあこうなると思ってましたけどね。

　あと挿入歌が四曲もあるんですよ。誰が歌ってるかっていうと、Aqua Timez、Crystal Kay、HALCALI、山猿……。これがね、ミュージックビデオばりに大音量でBGMですよ！
　アホかっ！
　でね、話しそれますけどね、Aqua Timezの曲名、『銀河鉄道の夜』なんですよ。
　でね、今気付いたんですけど『豆富小僧』の総監督ね、杉井ギサブロー氏だったんですって。
　どういうことか分かりますか？
　杉井ギサブロー氏がね、1985年に『銀河鉄道の夜』っていうアニメ映画つくってるんですよ。宮澤賢治原作を登場人物オール猫、にしたアレですけど。僕ね、生涯ベストアニメはね、今敏監督作品を抜いてね、杉井ギサブロー氏の『銀河鉄道の夜』なんですよ！！！！
　ああそうですか。もしや『豆富小僧』も名作と名を連ねるほどの出来栄えだったんですかな。
　けれど僕みたいな純粋な心を忘れた男にゃ理解出来なかったわけですか。
　ええ、ええ、分かりますよ。

　だって、上映中に眠ってしまって本編の1/3観てなかったしな！！

　だってつまんねんだもんよ！

　はい、ということで、僕は邪悪な観客でした。ですからこれも邪悪な感想です。
　邪悪じゃない皆様には楽しんでもらえるんではないかと思います。

　2011年は豆富小僧が流行る！！

　ってか、流行ってんのかもしらんけど。
　映画は腐ってるよ。豆富じゃなくて、豆腐だよ！！

　そんな感じ。

　ばいちゃ。