8月8にち
ぼくはさいしょ、雪がふったのだと思いました。でも、おかしいなと思いました。夏に雪がふるなんておかしいのです。おかあさんはきみがわるいわと言ってました。おとうさんは雪じゃないよとおしえてくれました。おねえさんはかわいいじゃないとよろこんでました。
おとうさんが言うには、雪はけせらんぱさらんというようせいらしいのです。まっ白いわたの固まりです。白いこなをだして空からおちてくるのです。ぼくは白いので、まっしろしろすけと名付けました。しろすけにはまるい白目と黒目がついていました。はなも口も耳もありません。小がく一年生のざっしに付ろくでついていたシールににてました。
町の人たちはどんどんふってくるしろすけを笑いながら見ていました。おとうさんがけせらんぱさらんは幸せをよんでくれると言っていたので、きっとそのせいだと思います。
ぼくも何だか幸せなきもちです。
8月11にち
きょうは朝から、えんがわにすわってしろすけをみていました。夏休みの研きゅうはしろすけにしようと思ったのです。
ところがおかしなことが起こりました。しろすけがふってからかぜでねこむ人がいっぱい出てきたのです。テレビでいっぱいニュースが流れて、子どもは外にだしてもらえなくなってしまいました。
どうなるんだろう。
8月13にち
まちにはおまわりさんがいっぱいです。しろすけはきれいにされて、まちはすっかり元どおりになりました。かがく者の人たちがしろすけが本当はかびだということをしらべていて、まちをこうきんじょうたいにしたみたいです。安心だねとおとうさんが言ってました。まちをこうきんじょうたいにしていればしろすけはふってこないのです。
さいごの日
夏休みがおわります。しゅくだいは全部おわってません。でも、ぼくはだいじょうぶです。ぼくはだれにも見つからないように、しろすけをジャムのびんに入れて、引き出しにかくしておいたのです。まいにち見ているうちに、しろすけはどんどん大きくなっていきました。
きのうの夜、トトロを見たあとに、なんだかねむれなくて、屋根の上からしろすけを少しずつばらまいてみました。暗い夜にしろいしろすけがきれいに見えました。
きょうの朝、おとうさんが全身カビだらけになって死んじゃいました。かなしいです。しろすけはいまもすごいスピードでふえていきます。きっと明日はぼくが死ぬのでしょう。おしまい。
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