手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。
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さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は―。蚊吸豚による、村の繁栄を祝う脂祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を
振り回しながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして、「姉」を手に入れたい…。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。「選考委員への挑戦か!?」
と、選考会で物議を醸した日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」はじめ四篇を収録した、カルトホラーの怪作短篇集。
凍りつく恐怖、戦慄の愛
人類にとって、最も古く、最も強烈な感情とは―――もしかすると―――恋情ではないか……その答えはあなたの恋人が知っているかもしれません。
人類最古の感情に、歯の根も合わぬほどうち震えている……あなたの恋人が……。
どの短篇からお読みいただいてもかまいません。―――いや、二十世紀末の90年代の『ひとでなしの恋』がどれほど一筋縄ではいかぬ物語かを、お愉しみいただけるだろうと存じます。
電話がなっている。君からだ。だけど、ぼくは、受話器をとることができない。いまのぼくには、君と話をする資格なんてない。だって、ぼくは…。あわい初恋が衝撃的なラストを迎える幻の名作「電話がなっている」や、バスケ少年の中学最後の試合を爽快に描いた表題作、スペインを旅する青年の悲しみをつづった書き下ろし作品を含む、文庫オリジナル短篇集。少年という存在の気持ちよさも、やさしさと残酷さも、あまりにも繊細な心の痛みも、のぞきみえる官能すらも―思春期の少年がもつすべての素直な感情がちりばめられた、みずみずしいナイン・ストーリーズ。
目の前の現実、慣れ親しんだ世界観にわずかな亀裂が走るとき、総毛立つ戦慄があなたを襲う。〈とてつもない残酷さ・グロテスクさをもって、ほとんど生理的
な反応でパニックすらひきおこす〉(本書解説)と評された「二度死んだ少年の記録」。何度死んでも魔界に転生してしまう絶望的運命を著者十八番の超虚構で
描く表題作。読者の恐怖観を完全にくつがえす自選ホラー傑作集第二弾!
6月の土曜日の朝、ロンドンの超高級住宅地で住人32人が惨殺された。高い塀と監視カメラに守られた住宅地で、殺されたのはすべて大人。そして13人の子
どもたちは何の手がかりも残さず、全員どこかへ消えていた。誘拐されたのか?犯人はどこに?2ヵ月後、内務省に事件の分析を命じられたドクター・グレヴィ
ルは現場を訪れるうちにある結論に到達する。鬼才が描く現代の寓話。