手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。
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世界の残酷さと人間の暗黒面を不穏に、鮮烈に表現する「文学的ゴシック」。古典的傑作から現在第一線で活躍する作家まで、多彩な顔触れで案内する。
世界の本質的な残酷さ。いやおうなく人間の暗黒面へと向かう言葉。鮮烈なレトリックによって描かれる不穏な名作の数々を「文学的ゴシック」の名のもとに集める。白秋、鏡花から乱歩、三島、澁澤を経て現在第一線で活躍する作家までを招き、新たなジャンルの創成を宣言する一冊。
高原英理 「リテラリーゴシック宣言」
1 黎明
北原白秋 「夜」
泉鏡花 「絵本の春」
宮沢賢治 「毒もみのすきな署長さん」
2 戦前ミステリの達成
江戸川乱歩 「残虐への郷愁」
横溝正史 「かいやぐら物語」
小栗虫太郎 「失楽園殺人事件」
3 「血と薔薇」の時代
三島由紀夫 「月澹荘綺譚」
倉橋由美子 「醜魔たち」
塚本邦雄 「僧帽筋」
塚本邦雄 三十三首
高橋睦郎 「第九の欠落を含む十の詩篇」
吉岡実 「僧侶」
中井英夫 「薔薇の縛め」
澁澤龍彦 「幼児殺戮者」
4 幻想文学の領土から
須永朝彦 「就眠儀式」
金井美恵子 「兎」
葛原妙子 三十三首
高柳重信 十一句
吉田知子 「大広間」
竹内健 「紫色の丘」
赤江瀑 「花曝れ首」
藤原月彦 三十三句
山尾悠子 「傳説」
古井由吉 「眉雨」
皆川博子 「春の滅び」
久世光彦 「人攫いの午後」
5 文学的ゴシックの現在
乙一 「暗黒系 goth」
伊藤計劃 「セカイ、蛮族、ぼく。」
桜庭一樹 「ジャングリン・パパの愛撫の手」
京極夏彦 「逃げよう」
小川洋子 「老婆J」
大槻ケンヂ 「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」
倉阪鬼一郎 「老年」
金原ひとみ 「ミンク」
木下古栗 「デーモン日暮」
藤野可織 「今日の心霊」
中里友香 「人魚の肉」
川口晴美 「壁」
高原英理 「グレー・グレー」