手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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H26.1.23 書店にて




タダ券でゼロ・グラヴィティ観に行ったあと、勢い余って購入。
ここに行きつくまでの経過でhontoのクソッたれなポイント失効や、福島の書店のできそこない加減とか書き得るべき事柄は多々あるんですが、まぁもういいよ。眠いので(爆

一冊しか置いてないのはまだしも、ページが反れて開いたかっこうになってたり、ページがよれてたり……ほとほとガッカリさせられますな。回った2書店の両方がそうなんだもん。クソッたれですよ。
ほんとはamazonで買おうと思ってたんですが、まぁもういいや、眠いし(爆 てな具合で比較的状態がいい方の店で買いました。西沢書店。献金です、もはや献金。

世界の残酷さと人間の暗黒面を不穏に、鮮烈に表現する「文学的ゴシック」。古典的傑作から現在第一線で活躍する作家まで、多彩な顔触れで案内する。
世界の本質的な残酷さ。いやおうなく人間の暗黒面へと向かう言葉。鮮烈なレトリックによって描かれる不穏な名作の数々を「文学的ゴシック」の名のもとに集める。白秋、鏡花から乱歩、三島、澁澤を経て現在第一線で活躍する作家までを招き、新たなジャンルの創成を宣言する一冊。

ザザザっと目を通したかぎり、編者解説でも触れられている澁澤龍彦編著『暗黒のメルヘン』と肩を張るアンソロジーの極北的風情はびんびんびん。編者の評論集は前々から気になっていただけに、またちょっと財布と無謀な相談をしてしまいそうになりますな。
なんにしろ幻想小説ファンならずとも、本邦の異端文学を語るうえではマストな一冊。収録作をみよ。夢のオールスターってのはこういうことを云うのだ。妖怪大戦争だ、怪獣大進撃だ、ラグナロクだ、ティタン戦争だ!
皆川博子『影を買う店』のあとでも決して見劣りしないグラヴィティ。つぎに解釈:評説を書くならこれでしょ。実現するかは未定!


【収録】

 高原英理  「リテラリーゴシック宣言」


1   黎明


 北原白秋  「夜」
 泉鏡花   「絵本の春」
 宮沢賢治  「毒もみのすきな署長さん」


2   戦前ミステリの達成


 江戸川乱歩 「残虐への郷愁」
 横溝正史  「かいやぐら物語」
 小栗虫太郎 「失楽園殺人事件」


3   「血と薔薇」の時代


 三島由紀夫 「月澹荘綺譚」
 倉橋由美子 「醜魔たち」
 塚本邦雄  「僧帽筋」
 塚本邦雄  三十三首
 高橋睦郎  「第九の欠落を含む十の詩篇」
 吉岡実   「僧侶」
 中井英夫  「薔薇の縛め」
 澁澤龍彦  「幼児殺戮者」


4   幻想文学の領土から


 須永朝彦  「就眠儀式」
 金井美恵子 「兎」
 葛原妙子  三十三首
 高柳重信  十一句
 吉田知子  「大広間」
 竹内健   「紫色の丘」
 赤江瀑   「花曝れ首」
 藤原月彦  三十三句
 山尾悠子  「傳説」
 古井由吉  「眉雨」
 皆川博子  「春の滅び」
 久世光彦  「人攫いの午後」


5   文学的ゴシックの現在


 乙一     「暗黒系 goth」
 伊藤計劃  「セカイ、蛮族、ぼく。」
 桜庭一樹  「ジャングリン・パパの愛撫の手」
 京極夏彦  「逃げよう」
 小川洋子  「老婆J」
 大槻ケンヂ 「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」
 倉阪鬼一郎 「老年」
 金原ひとみ 「ミンク」
 木下古栗  「デーモン日暮」
 藤野可織  「今日の心霊」
 中里友香  「人魚の肉」
 川口晴美  「壁」
 高原英理  「グレー・グレー」

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