手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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SOUL'd OUT- To From




To From(初回生産限定盤)(DVD付)
01. opening
02. My Melancholic Prequel
03. Sticky 69
04. Sweet Grrl パイセン
05. SUCK MY ART
06. Twilight Twilight
07. MARTIAN MARTIAN
08. Hoochie Coo Baby
09. one man cast alone
10. scribbles
11. Dear My Cru







思い出以上のことは語るまい。そしてそれは、多くを語らないことが相応しい。

解散の報をきいたとき、体感したのは時代の終りだった。それは筆者の青春時代のことである。決して文化的な他意などはない。
総じて、内宇宙での顛末である。

正直、聴けばいいと思う。ダサいと思えばいいと思う。
けれども内宇宙の穴を埋めてくれたのは、こういう音楽だった。

 流暢な言語と、跳躍する暗喩。
 突飛な擬音と、生々しいメッセージ。
 多幸感を生むシンセサウンド、肝に響くブラックミュージック、心の琴線をなでる歌謡曲メロディ、魂を揺さぶるジャジー、ファンク、エレクトロ、そのほか貪欲なまでに取り入れられたエッセンス。
 声。佇まい。姿勢。アクセサリー。パフォーマンス。

すべてに漲った個性に、僕らは魅せられていた。
そんな僕らの盲目が、彼らを救えなかった非力なステータスだとしても、今回のアルバムを聴いてまたひとつ、かつ最後の最後に肯くことしかできなかった。
僕らの盲目は情けなかった。しかし鈍っちゃいなかった。

これで締めくくりなんて、どうかしてる。

あまりにデキた名盤。あまりにデキたドラマである。
時代は終るが、このアルバムは残る。そして彼らの足取りも残る。
青春はいつか終るものだと信じていた。だからこそ青春は美しいのだと信じている。
これは内宇宙の話だ。
一億の耳があれば、一億の音色がある。一億の感動が、一億の失笑がある。
たったひとつの耳のなかに残る記憶である。
この耳が、SOUL'd OUTという音楽家を受け容れてくれたことをいまはただ幸福に思いたい。
まるで奇跡のような話だ。
こんな思いを孕んだまま終結を見守ることができるなんて、僕らはどこまで幸福なのだろう。
一億分の一の星の下に生まれて、感謝しかない。
サイコーに、幸せだ。青春は終った。青春の苦しみから救ってくれた、ありがとう。
一方……なんて雑な出来。

曲順
Sticky 69 ⇒ Hoochie Coo Baby ⇒ My Melancholic Prequel ⇒ SUCK MY ART ⇒ MARTIAN MARTIAN ⇒ Twilight Twilight ⇒ Sweet Grrl パイセン ⇒ one man cast alone ⇒ Dear My Cru

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