手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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『レッドキングの結婚』

[解題]
『短編』初参加作品。当初、『多々良島』云々は言及していない600文字弱の作品だった。1000文字改稿の際に加筆したのだが、新たな思い付きではなく、元から頭にはあった。しかしあくまで玩具としてのレッドキングを登場させたかったために、省略した部分である。結局のところ、『短編』ver.と改稿ver.大した違いはない。



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『インフェルノ』

[解題]
単語の羅列について、固有名詞に頼り過ぎているだとか、イメージの強要だとか手厳しい意見を貰うことが多い。確かに技術はないが、想像力の失せる文章が蔓延する昨今に辟易し、そんな意見は無視している。たとえそれが自慰的表現だと揶揄されても、だ。
単語独自のイメージを引き出すことも物語る上での作法だが、その力に腕を預けることもまた重要な礼節だと思っている。日頃から、言葉に、文字に拘らないで何が作家だと豪語している作者なので、作品群を一読すれば思い入れもご理解いただけるだろう。
結局、文字というのは連結することで単語になり、その瞬間、累乗的にアトモスフィアが膨らむ。それを切り詰め、継ぎ接ぎし、彫刻することが作家の仕事。料理人が厳選スパイスを存分に使った料理を創作する傍ら、自然の味を優先した料理を重宝するように、素材を生かすことも作家の使命である。
羅列という行為に嫌悪感を抱く向きはあろうが、一語一語噛み締めるように読んでいただきたい。その単語が抱える様々な印象。単語単位を味わう余裕は長編では与えられない。短文で世界を表現する1000文字小説ならではの嗜み方だと思う。

なお本作では、南国幻想を彩るアクセサリーとして、あるいはリゾートに流れる断続的な時間を表現するため、羅列を用いた。体言止めも断片的な運びを意図してのものである。





『天使はそこにいるのか』

[解題]
テーマは心霊理論。冒頭の一文、それが作品のすべてを物語る典型。思索小説の類になるのは書く手前から気がついていたが、思ったほどではなかった。幽霊を脳の幻影と解く赴きはエセ科学界、残留思念とする赴きもまたトンデモ科学界にはあるものの、心霊理論として用いるには力不足かもしれない。主人公の精神の浄化(カタルシス)は、理論を手放した瞬間であり、苦悶の果てに行き着いた作者の諦観に因るものである。








『幻獣料亭』

[解題]
モンスターハンターなる蛇足な言葉を付加したことにより、無駄な印象を預けてしまったという。小生は件のゲームを名前こそ知っていながらやったこともないしやりたいとも思わないのだが、そこら辺嘗めかかっていた。そこまで意識はしてなかったのだがなあ。むう。
着想から小一時間で執筆完了というのは中々ない。この作品は作者としても珍品だった。
作中、料理の説明が諄諄としているのは、サービス精神の賜物であるが、いわゆる料亭や老舗小料理屋での女将による口上をイメージとしている。もう食べてもいいか?と思われたら本望。和食の風情ながら、日本産の幻獣が登場しないのは、日本のものとなると妖怪という呼び名を尊重せざるを得なくなるためで、あくまで『幻獣料亭』のこの店には不釣合いだと感じた次第。
ところでカップラーメンもたまに食べれば美味い。喰いすぎはオススメしない。






『怪人なめくじ男の変身』

[解題]
実のところ、小生は仮面ライダー<ウルトラマン派である。戦隊シリーズと比べるとなんとも言えない。特撮全般で話をすれば、特殊人間もの繋がりでは仮面ライダー>東宝映画の変身人間シリーズとなるのだが、それはまた別の話。
何ゆえ仮面ライダー<ウルトラマンなのかと言うと、脚本の好みもあるが、敵役の描き方に尽きると思う。
ウルトラマンは題名に正義のヒーローを冠していながら、実際毎回登場する怪獣が主役である。それを裏付けるための怪獣の魅力は語らずもがな。仮面ライダーもスタンスとしては共通しているのだろうが、怪人に魅力がないと個人的には思う。やっぱりデカくなくちゃ(そこか 戦隊ヒーローものでは怪人風情がとある行為で巨大化し、ロボと戦うという流れが遺伝子として後世の作品にも伝わっている。その点、怪獣好きとしては仮面ライダー<戦隊ヒーローとなる。まあ結局、どれも大好きなんだけど。最近の以外はね。

そんな感じで、『レッドキングの結婚』に対する愛情とは一線を画すであろう怪人愛に乏しい作品だが、これはこれで気に入っている。作品全体の趣向が現実主義に則ったものながら、その現実がヤリスギな感じが否めないのは、ヒーロー物特有のキワモノさに通じると思う。




『シメールの罠』

[解題]
駄洒落シリーズ。 これは実に驚かれるのだが、小生CGアートもまた大の好物である。ただラッセンやシメールよりかは、『銀河鉄道の夜』や星座の世界など小生の血液を作品にしているKAGAYAや、RPGの世界観を一枚の額に切り取る内尾和正、フォトグラフィックを融け合わせ架空世界を描くシャイアン・コイなどがお気に入り。 そんな中、シメールと幻獣キマイラの日本語観点からの奇妙な共通点がときめいて心を離れなかった。シメールとキマイラはもちろん語源も違えば、スペルも異なる。その点、日本人だから描ける錯覚の妙であろう。 それを自覚した上で、あからさまな小坊主一休へのリスペクト。 そんな遊び心から生まれ、遊び心で肉付けされた小生独自の作品である。





『電脳夜伽』

[解題]
テーマは未来妖怪。この作品のような着想を持つと、電脳と怪談のバランスに苦しむことになる。理知的に傾けど、幻惑的に傾けど、失敗する。本作は決して精巧(成功)とは言えないが、性交としては云々。
コンピューターの情報共有がカニバリズムに繋がるのはさして珍しくもない話。性交が食欲と繋がるのもまた普遍的なもの。その三すくみが融合すればこんな感じになる。ただし、相手がザシキワラシなだけに性交の意味合いは抑え目にしてある。





『麗を弔う宴』

[解題]
『短編』に投稿したときの感想で、面白そうであって面白くないという的を得た感想があった。確かにこの作品の特色として、前にも後にも広がっていく開放性がある。それはある種いつまでも歳を取らないサザエさんの手法でもあって(は言いすぎだけど)、この作品はバックボーンだけが構築され全体像があやふやな設定。
それを現代ファンタジーらしい、枠に収まっているようで思いっきりはみ出している物語の剰余として受け取ってもらえたら幸いだが、虚像が浮き彫りになり上っ面を掬ってみても薄い塩味しか提供できなければ、件の感想を貰うことになる。
大いなる物語の終章でもあり、序章でもあり、そしてそのどちらでもないという弛緩した設定が、否定肯定どちらに転ぶかは読者の嗜好に頼るしかない。





『初夏のエチュード』

[解題]
やいやい、おまえさん。これのどこが奇想だってぇ。話と違ぇじゃねえか。
まあまあ落ち着きなさいな。普段奇抜なフィクションに接していると、普通の暮らしの些細な偶然やらシンクロニシティとやらがとても新鮮に感じてしまいやがる。そんな経験はねえか。事実は小説よりも奇なり、なんて大それたことは申しませんが、このさしてドラマチックでもねえ話、現実にもよくある話だとしてもな、ちょいと隅々まで覗いておくれよ。細かいとこで物語としか思いようのない被せがあるだろうが。これを物語と呼ばず何と呼ぶ。そんな奇想もあるってことよぃ。
まあ、一番珍奇なのは、この作者がこんな趣味にもねえ話書くってことだ。
ああ、確かにそいつぁ違ぇねぇ。


お後がよろしいようで。






『枝折の怪』

[解題]
怪奇色極まるものを愛してやまない作者だが、たまには飄々とした描き方もしてみてはどうかと思って書いてみた。書き上げるまでこれが怪奇幻想には該当しないものになる虞もあったが、ぶれることなくこの形に落ち着いた。人物の小説に対する感想が、どこか作者の自己反省に思えるのはちっとも間違っていない。






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性別:男性
職業:虚無員



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