[解題]
別ブログ掲載の【即興詩篇】からの転用である。鳥という存在が昔から好きだった。理由を探るつもりは毛頭ないが、いつからか畏敬と憧憬入り混じる幻想の存在として位置付けてきているのかもしれない。「はいたか夢路」しかり、「鳥たちのいる風景」しかり、本作しかり。
もっとも本作は「化鳥」と「化粧水」を合わせた洒落のタイトルが先にあり、内容は後天的なものだ。生と死を両性具有的に持ちうる存在、そこに胎児の(あるいはそれ未満の)娘をあてがう。
かつて「子宮の記憶」という短篇を思案したことがあったが、それは遠くない未来に生まれてくる赤ん坊が不可視の青年の姿をとり、茶の間に座り込んで母となる女の生活を眺めるという話だった。本作はそのヴァリエーションである。
http://r0bot21th.edoblog.net/Entry/962/『化鳥水』