手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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H23.2.2/2.9 BOOKOFF ONLINEおよび書店にて


ずっと欲しかった『手塚治虫COVER』のエロス篇 を入手。
タイトルどおり、作家が手塚治虫の漫画を題材に短編を書いたアンソロジー。

参加作家は、梶尾真治/太田忠司/牧野修/森奈津子/大塚英志/井上雅彦/唐沢なをき。
異形フリークとしてはまさにどストレートな作家たち。最後の唐沢なをきはよく分かりませんが。
題材にした漫画は、鉄腕アトム/W3/ビッグX/リボンの騎士/ふしぎなメルモ/ブラック・ジャック/鳥人大系。
あいにくすべて既読ではないのですが、井上伯爵がブラック・ジャックを描くというだけで垂涎もの。
ちなみに、タナトス篇 というのもあって、こちらはまだ未入手。文庫なのに2000円台という高値がついているだけ、希少。タイミングの遅れで入手できなかったのがとてつもなく惜しい。



次、『わたしを離さないで』の映画化で騒がしいカズオ・イシグロの連作短篇集『夜想曲集』。
あまりこの手の文学作品は読まないので新鮮。
ユーモアのバランス感覚が欧米的に振り切れていないのがいい。日本の血はあなどれない。


最後、まさかの嶽本野ばら。
表現だけ取れば好きになりそうな作家だなと、前々から目はつけていたけれど、『下妻物語』とかゴスロリになんとも思えない俺にはハードルが高かったので、肝試し気分で発売して間もない掌編集を。
スリーピング・ピル 幻想小品集 (角川文庫)  これがとても美味。
ドラッグ、ピアス、チョコレイト、真珠、鏤められた小品の魅力もさることながら虚飾に満ちた文体も俺好み。
巻末の『Notsubo』はスカトロで、作品集として思い切り浮いてるんだけど、それもまた面白い。
いやぁ、にしても作者近影、キモイなー。


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