「優秀なお子さんがいらっしゃってうらやましいです」
「いいえ、それほどでも」
「鷹を生むというやつですか」
「トンビですけどね」
*
「仲が良くてうらやましいです」
「いいえ、それほどでも」
「おしどり夫婦ですね」
「いいえ、雁ですけどね」
*
「情熱的なダンスですね。フラメンコですか」
「フラミンゴです」
*
「夫婦ゲンカですか。お盛んですなぁ。そんなに互いにもんどり打って」
「いいや、めんどり打ってんだっ」「いいえっ、おんどり打ってんのよっ」
*
「カウントダウン開始。にじゅう――」
「あ、二十からですか」
「四十雀ですけど」
*
「あのカップルは落ちるぜ。格好のカモだ」
「郭公〝と〟鴨の間違いでしょう?」
*
「その鶏冠、滑稽ですね」
「いかにも。烏骨鶏です」
*
「私は宙に浮くことができます」
「超能力者ですか」
「オウムです」
*
「立て込んどるか揉めに揉めたか、これ以上話をこじらすことに、わしはやぶさかではない」
「立てコンドル、カモメに揉めタカ、ワシハヤブサ
*
「声をからすか、うがいをするか」
「鵜飼じゃないっス、ウグイッス」
*
「あれは何だ。鳥か、飛行機か……それとも」
「鳥でしょう」
「だよねえ」
*
「タバコ、きみも一本どうだ」
「吸わん。黒鳥になっちまうだろうが」
*
三面記事のニュースをお伝えします。
今日、禿輪市の小黒市議が美水区役所に来庁。同市区で頻発している類似の掏摸・詐欺等の犯
罪について意見を述べました。一方、会談した大歯区長はといえば、目を数回つぶり、口もつぐ
み、市議の意見を熱心にうなずきつつ聞いていたかと思えば、ラジオの株取引ライブ放送に夢
中だった様子。区長によると「市議の話が単調で、耳に入れつつもずっと為替見通しが気になっ
てしょうがなかった」と釈明しています。
さて、浦賀港では湾岸に渦らしきものが発生。停泊していたペリー艦隊はあやうく引きずり込
まれそうになりましたが、船員の判断によって最悪の場合を逃れた模様です。提督によると
「ニッポンスキデスカラ、キタダケデマンゾク、コノヒコノトキ、ニッポンニャニッポンノヨサ
アリマス、ダカラ、イッペンノクイナーシ、トオモッタケレドモ、アノミハリバ、ミハヒバ、ミ
ハヒバリンバン、エ、アアソウソウ、ミハリバンネ、ヤツガシラセテクレタカラ、ミナブジデス
、オッケー、カイコクシナサーイ」とのことです。
一方、町の人達は艦隊を出迎えるために、泡踊りやら阿呆踊りやら、且つ踊り子たちの丁重な
ご奉仕を用意。提督も「サイコーデス。ニッポンアナドリマシタ、ワタクシ、ミモココロモ、ハ
クジャクシテイタトコロデシタガ、ワカイオナゴガ、ナンセ、キレイデ、モウ、ワタクシノハナ
ノシタ、コーノトーリ、ノビタキリッ、モトニモードリマセーン」と有頂天。
なお、このフェスティバルの詳細はちくま書店から発行されるガイドブックに掲載中。また、
弊社編集鳥の計らいで、当記事執筆には三十羽の刊行鳥さんにご協力いただきました。せっかく
なのでこの場をお借りして感謝申し上げます。(担当記者)
*
「先生。僕はガンなんですか」
「……」
「本当のことを言ってください。ガンならガンだとはっきりおっしゃってください」
「……分かりました。落ちついて聞いてください。あなたの、病名は……」
「僕の、病名は……」
「ガンです」
「いいえ、僕はおしどりですけどね」
*
「座ろう。まさか、立って小便するつもりかい」
「ツバメ界じゃこれが普通さ。それに……」
「それに?」
「立つ鳥あとをにごさず、とも言ってだね……」
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