手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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『ATOMOS』

[解題]
宇宙ものを書くと、『空飛ぶマタドール』(宇宙ものというか宇宙人もの)だったり、『銀河の夏、ニッポンの夏』だったり、いまいち地上から離れないものが多い。
王道の宇宙ものということで、もちろん某SF、否、某特撮をモチーフとしている。
それが何か。ひとつはすぐに思いつくだろう。放射能といえば、あれである。それではもうひとつなにか。
放射能といえばのあれ、によく似た、あれ。
某特撮の記念すべき最初の一歩である。まあ、気にする必要性は皆無だけど。



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『鴉の末裔』

[解題]
生者と死者の邂逅というものを描きたかった。それもどちらがどちらか曖昧な形で。
登場人物に限れば、ある程度の境界は引かれているものの、読者と語り部としたらどうだろうか。
また、『潮の匂い』にも通じるが、飛鳥部勝則氏の某短編にて論述された、“幽霊とは匂いである。”というファクターを採用している。



『魔の十三怪談』

[解題]
《1000文字小説》というサイトに上げたとき、得票数がべらぼうに高かったので、絶対そんなことあらへんっ!と思って、いざ《短編》に投稿したら案の定散々な結果に終わったという、本当にどうでもいい茶番につき合わせてくれた。
作者として作品をみれば、ここまで現実から遠退くのは単なる暴走だなあ、と。
雛形としての可能性はあるし、きっと今の形よりも望ましい形があるだろう。悩ましい。




『仮面の城』

[解題]
仮面テーマでは短篇作品として『笑み』というものがある。こちらは奇病の存在も雑じらせて、人が仮面を脱ぐときとは、素顔を曝け出すとは、というようなことを物語化したものだが、本作は仮面を被ったままの状態における不条理性を根幹としている。
地味ながら気に入っているのは、世界観でもあろうし、純粋無垢な物語運びでもあろう。
1000文字を、否、小説を書き溜めるにつれ、鍍金が剥がれる懼れと、それを隠すためにつける仮面の分厚さに気がつく。昔の作品に目を通すと、特に烈しく感じる。






『君が猫ろぶ前に』

[解題]
本作の弱点は、身内に早々と指摘されてしまったため、これ以上何を語ればいいのやら。
ああ、そうそう。『ついでにとんちんかん』でおなじみエンドコイチ先生の『END ZONE』という、『トワイライト・ゾーン』やら『世にも奇妙な物語』やら『アウターゾーン』やらまあそんなテイストのコミックスがあって、その中の一篇にインスピレーションを受けている。
『代わりに、小鳩を』と同じ。これ関連はあまり巧くいかない。
本当は『夜に猫ろぶ民』というタイトルで、萩原朔太郎の『猫町』にオマージュを捧げた幻想掌編になるはずが、まあ、分かりやすさを取ったということで、堪忍。




『空飛ぶマタドール』

[解題]
本作、『哀しき玩具』、『即興詩人』、『三日月のはしご』、『鴉の末裔』……。
これらは随分前にタイトルと着想だけが頭にあって、いつか掌編にしようと画策していたものたち。所詮、一発ネタだから1000文字にしようということで今の形に。けれども思っていたものと異なる様相になるのは当然で、中でも本作はマイナスな方向に傾いている。
つまりは、テキトー。
より都市伝説的に、X-FILE的になるものと踏んでいたが、何がどうしてこうなったのかはそのときのテンションだろう。それ以上語っても、本作の世界は広がらない。それもまたいいところ。




『ニューシネマパラダイム』

[解題]
当初からメタ物に凝っていた。ネタバラシを早々としてしまうと、これは映画の中と外の物語である。中としても読めるし、外としても読める。中から外へも読めるし、その逆もしかり。
これを拡大解釈したものが、『TAILLAMP TALES』となる。映画への言及をジム・キャリーに絞ったのは、好きだからです。タイトルはあの映画のもじりなのに……。
あまり難しく考えないで読んだ方が分かりやすい。難しく読めば読むほど、パラダイムはパラドクスになり、やがてパラノイアになる。作者にとってはパラダイス。読者にとっては、知らん。




『バリヨン』

[解題]
幼少時代は水木しげる作品と共にあったといってもいい。昨今の妖怪ブームに乗り切れていない身ながら、なぜに当時ああまで心惹かれたのか。それは『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』がTV放映されていて、身近にあったというのも一因だろう。しかし今思うに、嘗て愛したようには愛せないような気さえする。
当時は単なるキャラクターとしてしか見ていなかったように思うのだ。今では本作のようにひとつのキャラクターを掘り下げ、弄び、その背景に悪意を描くことしかできなくなっている。
或る意味、本作は鎮魂歌なのかもしれない。夢想に棲む妖かしと、それを愛してやまなかった幼心への。

なお、本作のテーマは電話。テーマがガジェットと成り下がり、その上、端から1000文字オーバーしているといういわくつきの作品でもある。


『不屍祝祭日』

[解題]
bk1怪談大賞に投稿した際に800字に減じているが、これがオリジナル。
本作を少なからず"怪談"を募る企画に寄稿するというのも馬鹿げた話だが、オチは一応怪談の手法を取っているといいわけしよう。
その際、頂いた感想に、"死を忌み嫌う現代への皮肉"という指摘があった。
本作の場合、そこまでの意識はしていない。むしろ、死とは何か。死と生が逆転した世界において、生きるとは何か。そんなところの思考実験と呼べば箔はつくだろう。


『魑魅朦朧』

[解題]
拙作の短篇『TAILLAMP TALES』で用いた手法を1000文字にも受け継ごうと思ったわけだが、以前に《千字一夜物語》シリーズの一篇『贋物と一角獣』という1000文字小説で使っていたので、それを極めた結果がこれ。 酩酊の表現を醸し出すには少し余白が足りなかった。これも詰め込み型。 辞書を引く癖がない人間には拷問のようだ。 なお、今敏作品『妄想代理人』の重要なファクターに影響を受けている。

そして、蛇足ではあるが、かねてから酩酊時に執筆をしたらどうなるかという実験をしてみたかった。その体現であることも添えておこう。



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性別:男性
職業:虚無員



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