[解題]
幼少時代は水木しげる作品と共にあったといってもいい。昨今の妖怪ブームに乗り切れていない身ながら、なぜに当時ああまで心惹かれたのか。それは『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』がTV放映されていて、身近にあったというのも一因だろう。しかし今思うに、嘗て愛したようには愛せないような気さえする。
当時は単なるキャラクターとしてしか見ていなかったように思うのだ。今では本作のようにひとつのキャラクターを掘り下げ、弄び、その背景に悪意を描くことしかできなくなっている。
或る意味、本作は鎮魂歌なのかもしれない。夢想に棲む妖かしと、それを愛してやまなかった幼心への。
なお、本作のテーマは電話。テーマがガジェットと成り下がり、その上、端から1000文字オーバーしているといういわくつきの作品でもある。
http://r0bot21th.edoblog.net/Entry/83/『バリヨン』