[解題]
筒井康隆『時をかける少女』への愛を語れば、紙幅が尽きてしまう。細田守アニメ版『時をかける少女』のヒットが記憶に新しいが、アニメ版で『時かけ』を知った少年少女が原作にまで踏み込むと、その時代性やらアニメとの乖離に面食らうことであろう。しかし、そのノスタルジーでさえ作品の良き味になっていることそのものが『時かけ』を『時かけ』たらしめ、名作と呼ばれる所以であることを知って欲しい。
ここからファンタジー性を求め、『たんぽぽ娘』や『ジェニーの肖像』など海外の名作に惹かれていくのもよし、SF性であれば、小林泰三『海を見る人』や『酔歩する男』などに嵌っていくのもよし。
SFとは、あったはずのものがいまはない、けれどいつかはまた出会える、そんな消失感から生まれる。
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