[解題]
パッケージ化なる技術は、安直だったかもしれない。これを読書媒体の変遷、いわゆる電子書籍への懸念と受け取る向きは否定しないものの、単に恋愛の真髄は個人の尊重が要であるといいたいだけだったのかも。読書とは文章を読むことだけではなく、内容を理解することが重要であり、それはまた恋愛の作法にも言えることだ。大事なのは、心を読むことではなく、心を理解すること、ただし、あくまで他者であることを忘れてはならない。恋人は他者であり、恋人の人生は自分の物語とは別の物語なのである。
また、少女を小物のなかに閉じ込めたい願望があるのか、『“魔美ちゃん”のビー玉』にも相通じるイメージ。
なお地震による本棚の倒壊、図書館という舞台は、かつて着想していたミステリ小説からの引用であることを、自身への備忘録のために書き添えておく。
http://r0bot21th.edoblog.net/Entry/539/『書物と真空の海』