手のひらの海に、汐はまた満ちる。それまで待とう、死ぬのは。(皆川博子『ひき潮』より) ―――吉川楡井の狂おしき創作ブログ。

-週刊 楡井ズム-

   

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<千文字の饗宴 Ver.1.5 掲載完了>

いやぁ、長かった。

【千文字の饗宴】蒼:空想の章
SF(空想科学)を主としたシリーズです。
【千文字の饗宴】翠:幻想の章
ファンタジー(幻想小説)を主としたシリーズです。
【千文字の饗宴】皚:奇想の章
その他、実験小説やよく分からないシリーズです。
【千文字の饗宴】黒:怪奇の章
ホラー(怪奇小説)を主としたシリーズです。
【千文字の饗宴】紅:猟奇の章
エログロ(猟奇扇情)を主としたシリーズです。


前回掲載完了が去年の5月だったので、11ヶ月ぶりですね。
ところがどっこい、今回は10作ずつ、50作の更新です。
前回にも増した玉石混交はご愛嬌。

とりあえずまたひとつハードルを越えた気分。

次の五十作もがんばるんば。


作者解題は明日以降書きます。今日はもう疲労がピーーーク!

ほなな。
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『ダリオスカトロロの城』

[解題]
『女の園』の解題でも記したとおり、その分野におけるカテゴリーのなかでもひときわ異彩を放つスカトロを代表する一篇。
ネーミングにダリオ・アルジェントの名前を幻視してしまう御仁は忘れてしまってほしいし、またもう一方『カリオストロの城』を幻視してしまう御仁には見なかったことにしてもらいたい。
そんなことはどうでもよいと言い、本作を過激なフェティシズムによる純愛物語と読んでくれる人のためにだけ、本作は存在するのである。





『都市計画アンダーグラウンド』

[解題]
悪癖は、複雑な設定を希釈することも濃縮することもせずにそのまま投入することと、多少の齟齬を構成によって有耶無耶にしてしまうことである。都市と人体の関わりはこれからの創作においても重要な命題の一部となってくるだろう。その叩き台としてなら活用できそうだ。
あるいはコールタールのなかの虹、宇宙のなかの電飾、闇のなかの綺羅、混沌のなかの星……手前ミソながら楡井ズムと名づけた創作論のメインストリームでもある、それら相反する美意識――いわば拙作における幻視の肝を再確認するための模範例であることは確かだ。





『波濤の娘』

[解題]
小説と並行して詩作にも興じることになったが、そこから派生した文学でもホラーとしてでもなく、拡大解釈してみたところの吉川楡井作品の集大成としてこれがある。それだけ力量をもって描いたし、思うところもあるのだが、今にして思えば随分とチープな作品だ。
タイトルはもちろん平沢進『白虎野の娘』を真似たものであり、流れる血液は無様にも楽曲とおなじ成分、おなじ濃度を目指そうとして誤って少し精液を混じらせてしまった具合だ。けれどそれはそれで可愛い娘になった気もする。





『生首流星群』

[解題]
俺のショートショート初体験は『トワイライトゾーン』でもなく星新一でもなく、えんどコイチ『END ZONE』だ。『アウターゾーン』や『笑ゥせぇるすまん』などいくらでも先行作品はあるはずなのに、『ついでにとんちんかん』からの流れで読んだのが出逢いだったというのは今思えば情けなくもある。それだけこの世界と無縁な幼少時代を送ってきたのです……。
1000文字のなかでも『END ZONE』のエピソードを踏襲したのは他に『代わりに、小鳩を』『君が猫ろぶ前に』あたりか。もちろん『END ZONE』自体どこからか持ってきたネタのリサイクルなので孫パクにあたる。
本作は直接的な踏襲にはあたらないが、終末世界に好みでない相手と残されるというネタを持ちだしている。本作ではそれを受容したのちに『爛夜花』を彷彿とさせる世紀末ヴィジョンでもって、なし崩しに俺流のファンタスマゴリアに化けさせてみた。とはいえ言葉足らずは否めない。





『脳髄妖』

[解題]
複雑化に対する認識を改めなければならないと思う。本作を見るとそれが特に感じられる。作者なりの言い訳も決して負け惜しみではないのだが、にしても混沌ばかりでは喉が渇くというものだ。
そうでなくても1000文字を超えているわけだから、もう少しコンパクトにする努力は必要だったろう。轆轤首だけに首が余ってしまったようだな。




『ホットスポット・インターフェイス』

[解題]
『ホットスポット・スカーフェイス』の続篇。設定用語集をひっくり返した結果、その多様性におぼれてしまった。結果、この後の続篇は生まれていない。
にしてもこの手の懐古主義SFは魅力的なのだが、幅がきかないな。羽振りよく出せば出すほど息苦しくなっていくだけだ。




『女の園』

[解題]
人形怪談、ロボットSFなんとでも呼ぼうと思えば呼べるのだが、俺にだって羞恥心はある。この【千文字の饗宴】紅の章は、エログロがテーマである。
たとえばアダルトヴィデオがそれぞれカテゴリーで腑分けされるように、そこから各要素を取り出して、世に溢れるエログロの真部分集合(笑)を綴じ込めたいというのが本音。決してマンコと言いたくて書いているわけではない。どうしても気に障るなら「ウルトラマンの子ども」に差し替えたっていいぐらいだ。だがここまで直接的な物事を描いておきながら、誰もが胸のうちでは知り尽くしているだろう単語を……なんてのは野暮がすぎるか。ごめんなさい。




『血の花嫁』

[解題]
好事家たちを悦ばせる猟奇殺人への興味は、俺にもある。むしろ俺にとってのホラー真部分集合はそれらを詳らかに紹介したゴシップ記事であるに違いない。決して惨劇をネタに恍惚のオナニーを繰り広げているわけではなく、悪夢としてあるいは一級の恐怖コンテンツとして接しているに他ならない。
『不機嫌なモノリス』ではメタファー的にとある事件を取り入れているが、本作では、ポピュラーと化してしまった現代、いかなる視聴者にも伝わるパブリックイメージとして現れる。そして主人公の佇みはそんな視聴者の一人でもある自身のシャドウであろうか。ニュースを眺めるたびに、鮮血を帯びた花嫁が死にも生まれもするのである。これが悪夢ではないとしたらなんであろうか。




『金曜日のラザニア』

[解題]
きっとTMNの楽曲『金曜日のライオン』があまりにかっこよすぎるタイトルなのである。だからこんな変ちくりんな物語になってしまったのだ。ラザニアが描きたかっただけなのだ。けれど、ラザニアって食べ物をよくしらない。家人にまんまと指摘されてしまったが、そんなことはどうでもいいのだ。
『金曜日のラザニア』というタイトルを書きたかっただけなのだ。どうでもよくはないが、どうしようもないのだ。




更新情報

25.5.5 新装開店大セール中

プロフィール

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年齢:37
性別:男性
職業:虚無員



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